地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
 昔から攫われかけたりとかしてたから、嫌でもそういうのは理解していた。

 地味だと思っていた女が実は可愛かったっていう状況だよね?

 でもそれなら……。


「んー? やっぱり分からないよ。実は可愛かったとかいう状況なら、前までの久保くんなら絶対にセフレにするとか言いそうだもん」

 首を傾げて唸るあたし。

 久保くんは顔をそらしたまま「……今じゃあぜってぇ言わねぇよ、そんなこと」と言い捨てる。


「あ、可愛いって自覚はあんのな?」
「でもたらし込んでる自覚はねぇってか?」

 勇人くんと明人くんはあたしを見下ろしながら呟くように言った。


「たらし込んでるってどういうこと?」

 そう言った明人くんの方を見上げれば、バチリと合った視線をそらされる。

 それがちょっと不満で、彼の袖を少し引っ張りながらもう一度聞いた。


「奏にも人たらしって言われるけどさ、そんなこと言われてもたらし込んでる自覚なんてないんだもん。良く分からないよ」

「っ、あ、のなぁ……。そういうところだよ」

 そう言って袖を掴んでいる手を指差される。


 ……袖掴むとたらし込むことになるの?


 袖を離して自分の手を見つめて見るけれど、ますます分からない。
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