地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
「え? かなちゃん?」
「マジでそんなキャラだったのかよお前」

 猫を被っていない奏を初めて見たのか、明人くんと勇人くんは驚きながら立ち上がる。


 奏はそんな三人を無視して、あたしに向き直った。

「とにかくさっさと行くぞ。今の姿の美来見られたら本気で面倒なことになりそうだからな」

 冷たい眼差しの中に心配そうな色を見て取って、あたしは「そうだね」と返事をした。



 そうして今度は四人に囲まれる形で第二学生寮に帰ってくる。

 少し狭くなるけれど、奏の部屋にみんなで入った。


「何も出さないわけにもいかないからな」
 と、奏はみんなに烏龍茶を出した。

 人数分のコップなんて置いてないから、湯呑みやマグカップだったりとまちまちだったけれど。


「それで? まずは美来、カラオケ出てから何があったんだ?」

 聞きたいことは沢山あるだろうけど、まずは現状把握をしたいらしい。

 さっきあったことを聞かれた。


 あたしは三人に補足してもらいながら簡単に説明する。

 八神さん達と会ったこと。

 何故か追いかけられて逃げ回ったら南校の“暴走族”の総長たちに会ったこと。

 そしてまた八神さん達に追われて、久保くんに助けられ、双子にバレた所までを話した。
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