地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
「ん……奏ぇ?」

 薄っすらと開いた目の色は薄茶色。

 全く、カラコンも取らないと危ないじゃないか。


「ほら、自分の部屋に戻れ。ここじゃあゆっくり休めない」
「ん……」

 意識が朦朧としてよく分かっていないみたいだったけど、美来は小さくうなずいてベッドから降りた。
 俺はそれを支えながら歩く。

 途中、床に倒れた状態で固まっている久保を見た。


 とりあえず、釘は刺せたかな?

「じゃ、世話になったな」

 それだけ言い置いて、俺達は久保の部屋を出た。



 ……その後から久保の美来に対する態度がおかしくなったっけな。

 はじめは俺の刺した釘が効いてるのかと思ったけど……。


 記憶から思考を戻して、今の久保を改めて見る。


 なんて言うか……ホント変わったよな、コイツ。


 さっきだってむやみに美来に近付いたりしなかったし。

 それに、美来を泣かせたから異母兄を嫌いになっただとか、優しくすんのは美来だけだとか……。


 あからさまに照れてる様子は、狙って口説いてるって言うより素で言ってる感じだった。

 あと、最近の久保の様子。
 美来を見つめるだけで手は全く出さないのとか。


 もうこれは完全にあれだ。
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