地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
「久保、お前本気で好きになった女ってもしかして美来が初めてか?」

「んな!? ほ、本気でって! 好きって! は、初めてなわけねぇだろ!?」

 否定はされたけど、この慌てようを見れば一目瞭然だった。


「……顔、真っ赤だけど?」

「し、知らねぇよ!」


 ヤバ、ちょっと面白い。

 こんなにからかいがいのあるやつになるとは……。


 美来に好意を持った相手は大体いくつかに分けられる。

 女子は今もそうであるように可愛い派とカッコイイ派。

 男子は憧れるだけのタイプ、何が何でも手に入れようとするタイプ、そして純粋に好きすぎてどうしようもなくなるタイプ。


 久保は明らかに最後のタイプだ。

 でもまさかここまでの純情ボーイになってしまうとか……。


 ヤバ、面白すぎてちょっとにやける。


「なんなんだよ!? お前、話したいことってそれなのか? だったら俺は自分の部屋に帰るぞ!?」

「まあ待てって。本題は別だ」


 そうだ。
 本題は別。

 久保のことじゃなくてこいつの異母兄のこと。


 高峰 銀星。
 おそらくそいつは二番目のタイプだ。

 何が何でも手に入れようとするタイプ。


 話を聞いた様子じゃあ美来をお子様だと言っていたみたいだけど、それでも諦めたわけじゃなさそうだった。

 そういうやつが美来に執着すると本気で厄介になる。
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