地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
 好意を寄せてくれる男は腐るほどいたけど、肝心の美来にその気がなかったんだ。

 だから彼氏が出来るわけもなく、いつかは離れてしまう“兄”の俺しかいない。


 このままじゃいつか捕まって美来が泣くことになる。

 そう思っていた矢先に俺のストーカー被害があった。


 はじめはなんて面倒な真似をするんだと思ったけど、あれがあったから転校という選択肢が増えた。

 警察沙汰にもなったせいで、学校の先生や両親から俺も転校した方が良いんじゃないかと提案があったんだ。


 俺はその提案に瞬時に飛びついた。
 自分のためというよりは、美来のために。


 そして調べて、この街に来た。


 しのぶに会いたかったからというのももちろんあったけど、このマンモス校なら美来が好きになる相手くらいいるかもしれないという思いもあった。

 二年前に美来がさ迷った街ってのが少し心配だったけど……。


 まさかすでに学校のトップ達に目をつけられていたとは思わねぇだろうが!?


 つい、心の中で悪態をつく。

 まあでも、あの総長達は元が良いとこのお坊ちゃんだからか危険性という意味ではそこまで危なくない。


 問題はそう、久保の異母兄である高峰 銀星。
 本当の“暴走族”の総長。

 しかも……。
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