地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
 久保は見たところケンカはそこそこ?
 正面から勝負したら美来には負けるだろうし、俺と互角か少し下ってところか。

 その上触れるのすら勇気がいる状態になったこいつはかなり頼りないけど……。


「ちょっと頼りないけど、美来を泣かせないと分かっている奴が近くにいてくれると俺も助かるんだよ」

 不満はあるんだと、表情にも出して伝える。

 すると流石に今度は怒ってきた。


「頼りないは余計だろ!? 仕方ねぇじゃんか! なんだよあいつ……素顔、可愛いし綺麗だし。強いのは分かってっけど触れると壊れそうな気がするし!」

「……」

 しかも怒りに任せてなんか語りだしやがった。


「そしたら本当は目の色違うしよぉ。あんな綺麗な目ぇして、マジで妖精!? って思ったぞ!? かぐや姫って呼ばれるのも納得だよ!」

「妖精……」

 まあ、見た目だけならそう見えなくも……。
 でもそれ普通口に出すか?
 恥ずかしいって感覚は――今はないのか。


「ってか何なんだよ。何で《かぐや姫》なんだよ……。何で八神さん達が探してたって言う《かぐや姫》なんだよ……」

「……」

 そうして気落ちしたのか、言葉が出なくなる久保。
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