地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
 幸い、サインが必要な書類とかではなくて読んでもらうだけのものみたいだし。


 ということで、今日も今日とて廊下を走るあたし。

 途中で先生に見つかってすれ違いざまに叱られたけれど、ごめんなさい止まれません。

 だって、急ぎとか関係なく第二音楽室と理科準備室ってほぼ真逆の位置にあるんだもの。

 移動だけでどれくらい時間がかかることやら。



 そんなわけで、第二音楽室についたあたしはドアの前で息を整えていた。

 流石に一気にここまで走ってくるのは疲れる。


 そうしていると、中の方が少し騒がしいことに気づいた。

 遮音性に優れた音楽室だからかちゃんとは聞こえない。

 でも、明らかにケンカをしているような声だった。


 殴り合いとかはしていないようだけど……。


 中に入りづらいこともあって、聞き耳を立ててしまう。

 少しすると何かの言い合いがピタリと止み、シンとなる。


 そしてドアの前に気配を感じたので、サッと慌ててよけた。


 バンッ


 勢いよく開けられたドアを見て避難しておいて良かったと思う。

 出てきたのはいかつい不良達数名。
 明らかにイラ立っていた。


 彼らはすぐあたしに気付いたけれど、ギロッと睨むだけでスルーしてくれる。
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