地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
「でもよ。お前もちょっとは可愛いし、全く似てないってことはねぇんじゃねぇの?」

 そう言って、頭に乗っていた手が下りてくる。

「へ?」

 言葉の意味が理解出来ないでいるあたしの耳をかすめ、頬を撫でられた。


「っっっ!!」

 なんだか、良く分からないけど、このままでいるのはマズイ気がする!


 ほぼ直感でそう思ったあたしは、残っていた缶コーヒーを飲み干して立ち上がった。


「じゃあ、あたしそろそろ失礼しますね! 缶コーヒーごちそうさまでした!」

「お、おう」

 突然勢いづいたあたしに少し気圧されたのか、驚いて頷く八神さん。

 そのまま突っ立ってあたしが部屋から出ていくのを見ていた。


「じゃあ失礼しました!」

 わざとらしいほどに元気な声を出してドアを閉めると、はあぁぁぁ、と深く息を吐いた。


 今のは何だったんだろう?

 なんか、キスとかされそうな雰囲気になってなかった?


 あそこで逃げなかったら、頬を撫でた手が顎を掴んでいそうな感じだった。

 獲物を見るような目になっていたから、多分あたしの予想は間違っていないと思う。



 でも待って。

 八神さんは《かぐや姫》が好きで、あたしが《かぐや姫》だとは気づいてないって状況。

 これってつまり……浮気じゃない?
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