地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
 何とも微妙な気分になってしまう。


「そうですか……」

 結果、そんな答えしか出来なかった。


「バラしたりもしないから安心していいよ。司狼は何となくカンで気付いていそうだし、怜王も気付くのは時間の問題って感じはするけれど」

 俺からは言わないでおいてあげる、と告げられる。


「それは……ありがとうございます?」

 信用できるかは別として、嘘を言っている様には見えなかったから一応お礼を口にしてみた。

「ふはっ、そこは疑問形なんだ?」

 あたしの態度の何が面白かったのか分からないけれど、坂本先輩は自分の口元に手を当てて笑う。


 妖艶な顔に少し幼さが垣間見えて少し可愛く見えた。

 や、男の先輩に可愛いは失礼かもしれないけど。


「まあ、そういうわけだから」

 幼さが消えた表情でまた覗き込まれる。

 妖しく艶やかな眼差しに、捕えられた。


「っ!」

 スルリと頬を撫でられ、妖艶な眼差しが嬉しそうに細められた。


「俺に口説かれる覚悟、しておいてくれよ?」

 あたしは坂本先輩の眼差しに捕らえられ、身動きが出来ない。

 それでも何とか必死に動けと体に命じた。


「っか……」

「か?」

「覚悟なんて、出来ませんっ!!!」

 やっとのことでそう叫ぶと、あたしは立ち上がって坂本先輩から逃げ出した。
< 365 / 878 >

この作品をシェア

pagetop