地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
 可愛い?

 似合ってる?


「……っ!」

 あ、あれ?

 何か、胸がギュウって苦しいような……?

 でも嬉しいような?


 良く分からないけれど、泣いたのとは違った意味で顔が赤くなってきている気がする。


 どうして?

 可愛い、なんて昔からよく言われていた言葉なのに……。


 分からなくて、その言葉を言った久保くんを見る。

 何が違うんだろうって、今度はあたしの方が彼をジッと見つめた。


「っ!?」

 するとじわじわと頬や耳が赤くなってきた久保くん。

 すくい取ったあたしの髪がサラリと落ちると、一気に動きがぎこちなくなった。


「っぅあ、と。えっと……も、もう大丈夫見てぇダナ!?」

 語尾がおかしい。

 明らかにテンパっている久保くんに、あたしは自分のドキドキが治まっていくのを感じた。


 あれだ、自分より慌てている人がいると逆に落ち着くとか、そういう感じのやつ。

「じゃ、じゃあ俺自分の部屋に帰るから! その、ケーキでも食って元気出せよ!?」

 言うが早いか、久保くんはそのままドアを開けて出て行ってしまった。

 止める暇すらない素早い行動に呆気にとられる。
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