地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
 でも、ちゃんと聞こえた。

 可愛いって言ってくれた。


 それだけでポッと心が温かくなる。

 やっぱりみんなに言われるのと違うなぁと思いながらも、「そっか、良かった」とだけ言って笑顔を返した。


 そして視線を自分の机の方に戻し前を見ると、少し驚いた表情のしのぶと目が合う。

「ん? どうしたの?」

「え? いや……美来の方から見た目の意見とか聞くのって珍しいなって思って」

「……そうかな?」

 聞き返しながら、自分でもそうかもと思った。


 可愛いと言われるのが普通だったから、あえて自分から聞こうとも思わなくなっていたし……。

 でも久保くんの意見は聞きたいと思ったんだよね。
 何でかな?

 また首を傾げるけれど、理由なんて全く分からなかった。


 そんな朝の騒がしい時間を過ごし、放課後にはまた忙しい生徒会の仕事だ。

 昨日の今日だけれど、あと少しで文化祭本番。

 サボってばかりはいられない。


 それに、昨日のアーチがどうなったのか心配でもあるしね。


 というわけで、今日も生徒会室に向かっているんだけれど……。

「何で奏も一緒に行くの?」

 そう、なぜか手伝いを頼まれているわけでもない奏が一緒についてきていた。
< 396 / 878 >

この作品をシェア

pagetop