地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
「ちなみにそれを知ってどうするつもりなのかな?」

 坂本先輩は明言を避けるように胡散臭い笑顔を浮かべながら質問を返していた。


「……二年前も失敗しかけたっぽいのに、今回は本当に大丈夫なのかなっていう確認ですよ」

 対する奏も負けてない。

 皮肉をたっぷり込めた目で笑っている。


 ……やだなー。
 なんかここだけ空気が悪い。

 お互いが黒い腹の探り合いをしているみたい。


「はは、言うねぇ。……でも、そうだな。確かに不安はあるよ。二年前だってしっかり準備をしていたはずなのに、まさか刃物を持ち出していたなんて……」

 そこで一度言葉を止めた坂本先輩は、何故かあたしに視線を向ける。


「……彼女、美来さんがいなかったらどうなっていたか分からない」

「え?」

 あたしを見るその目は真剣で、わずかな憧れのようなものも見える気がした。


 どうしてそんな目で見てくるのか……。

「えっと……ちょっとよくわからないので、ちゃんと説明してもらえますか?」

 自分に関係ないと思っていたからただ二人の話を聞いていたけれど、あたしにも関係のある話ならちゃんと分かるように説明してほしい。


「ああ、君は分かってなかったんだね。お兄さんが理解してるみたいだから分かっているのかと……」

 そうして視線を奏に向ける。
 あたしもならって奏を見ると……。
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