地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
 また、歌声を。

 ということはつまり、二年前と同じことをして欲しいということだろうか?


 戸惑いと、理解がちゃんと追いついていないのとでなんて答えればいいのか分からない。

 そうしているうちに奏のため息が聞こえた。


「……はぁ……。結局のところ、美来頼みですか?」

「まあ、念のためだよ。想定外なことが起こった時のね。……それに、僕が頼むことを見越してこうやって一緒に来たんじゃないのかな? 奏くん?」

「……」

 意味深な坂本先輩の言葉に奏は睨みつけるだけだった。

 そして坂本先輩はその視線を受け止めるだけ。


 ……この二人、相性悪いのかな?


 なんて思っていると、奏の視線が今度はあたしに向けられた。

「……美来はどうしたい?」

「え?」

「関係ないってことで放っておくか? それとも起こるかどうかわからない想定外のことの対処のために、歌う準備をするか?」

 どうしたい? ともう一度聞かれる。


「あたしは……」

 聞かれて、考える。

 関係ないと言えば関係ない。

 でも、今回《月帝》と《星劉》の関係が悪化した原因の一つはあたしでもある。


 あたしのせいではないけれど、少しは気にしていたし……それに、つい昨日には一般生徒にも被害が出始めてしまった。
< 405 / 878 >

この作品をシェア

pagetop