地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
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 抗争という名のケンカは文化祭前日の夜に校庭で行う予定らしい。

 毎年校庭は食品系の屋台を出してにぎわうらしいけれど、今年は特設ステージを設置してライブやちょっとした劇、後はコンテストなどを行うだけにしているのだとか。


 坂本先輩が言うには、初めからそこで抗争を起こさせるつもりだったから壊されそうな屋台は出さないことにしたんだとのこと。

 生徒会の仕事の手伝いの過程でどうして校庭で屋台をしないのかと不満が上がっていたのを聞いたけれど、元々抗争を起こさせるつもりだったのなら納得だ。



 何かと準備も必要だろうということで、その日から放課後の生徒会の手伝いは免除された。

 ただ、「文化祭当日は手伝ってね」と言うあたり坂本先輩は抜かりないと思う。


 ということで、あたしは事情を知るしのぶも巻き込んであと数日となった文化祭前夜に向けての準備を進めることとなった。


「放課後しか時間がないからちょっと大変だねぇ」

 何やら張り切っているしのぶはあたしの衣装を作るんだとか意気込んでいる。

 でも待って。

 衣装とかいるの?


「制服じゃダメなの?」

 そう聞いたあたしにしのぶはキョトンとした表情で返す。

「え? 美来は《かぐや姫》ってこと隠してるんだよね? 制服着てたら一発でバレちゃうでしょ?」

 今の髪型だと特に、と言われてしまった。
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