地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
「あたしが好きでやったんだし。それに――」

「お金の心配なら要らないぞ?」

 しのぶの言葉に被せる様に、あたしが着替え終えるのを待っていた奏が室内に入ってきて言う。


「おー、似合うじゃないか。やっぱりしのぶはセンスが良いな」

 しっかり好きな子を褒める辺り奏はホント抜け目ない。

「そんな、美来が可愛いからだよ。……でも、ありがと」

 恥じらいを見せながらお礼を言うしのぶは可愛かった。


「それで? お金の心配はいらないって?」

 どういうこと? と聞き返す。


「坂本先輩から必要経費としていくらか貰ってあったんだよ。文化祭の予算から出したのか、ポケットマネーなのかは知らないけど」

「……いつの間に……」

 ホント抜け目ないな。


 でもまあ、確かにそれなら気にしなくて大丈夫かな?

 制服で出来ない以上は私服で表舞台に出なきゃならないんだし……。


 いや、でもあたしの出る幕が本当にあるのかも分からないし……。

 そこんところどうなんだろう?


 いいのかなぁ? なんて首を傾げていると、「移動しよう」という奏の言葉で教室を出た。


 少し早いけれど、校庭に設置してある簡易ステージの陰のところに行く。

 明日も控室代わりに使う場所だ。
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