地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
「美来さん、ありがとう。あとは何とかするから」
坂本先輩が急ぎでそう言ったのを頷いて返して、あたし達三人はステージから離れる。
そのまま誰にも会わずに寮へ戻る――はずだった。
「え? 美来、さん?」
誰もいないと思った場所から、戸惑いの声が聞こえる。
え? と振り向くと、そこにいたのは《月帝》のNO.2である稲垣さんだった。
「え? 美来さんが……《かぐや姫》?」
「あ、えっと……」
不意打ち状態に一瞬頭が真っ白になる。
存在が空気とまで言われる彼の気配は全く感じなかった。
声が出されるまで、いることに全く気づかなかった。
いつからいたのか。
それは分からないけれど、今の言葉と驚きの表情であたしが《かぐや姫》だってことはバレてしまったということだろう。
何とか思考を巡らせることが出来て、口止めしなきゃ! と思ったときには大勢の足音や声が近くに聞こえて来ていた。
「美来! 行くぞ!」
奏に腕を引かれて逃げる方を優先する。
せめて黙ってて欲しいと言っておきたかったけれど、追って来る人達の姿も見えてきた。
あの集団に捕まったらそれはそれでさらに混乱を呼びそうな気がする。
坂本先輩が急ぎでそう言ったのを頷いて返して、あたし達三人はステージから離れる。
そのまま誰にも会わずに寮へ戻る――はずだった。
「え? 美来、さん?」
誰もいないと思った場所から、戸惑いの声が聞こえる。
え? と振り向くと、そこにいたのは《月帝》のNO.2である稲垣さんだった。
「え? 美来さんが……《かぐや姫》?」
「あ、えっと……」
不意打ち状態に一瞬頭が真っ白になる。
存在が空気とまで言われる彼の気配は全く感じなかった。
声が出されるまで、いることに全く気づかなかった。
いつからいたのか。
それは分からないけれど、今の言葉と驚きの表情であたしが《かぐや姫》だってことはバレてしまったということだろう。
何とか思考を巡らせることが出来て、口止めしなきゃ! と思ったときには大勢の足音や声が近くに聞こえて来ていた。
「美来! 行くぞ!」
奏に腕を引かれて逃げる方を優先する。
せめて黙ってて欲しいと言っておきたかったけれど、追って来る人達の姿も見えてきた。
あの集団に捕まったらそれはそれでさらに混乱を呼びそうな気がする。