地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
 歌詞がどうとかじゃない。

 単純明快な意志が、その声に乗せられていた。


 みんなそれを感じ取って、美来に魅せられたから自然と動きが止まって……。

 美来の意志に従うように、抗争は治まってしまった。


 その事実にも俺はゾクリと心が震える。
 畏怖に似た気持ちもあったけれど、それ以上にただただ美来に心奪われた。

 元々面白いし可愛いし、気に入っていた美来。
 素顔を知って、《かぐや姫》だと知ってもっと気に入った。

 ……いや、その時からもう気に入ったというより女の子として好きになってた。


 でも、今日の美来を見て……好きという言葉だけじゃ足りないような気持ちになった。

 如月さん達がこの二年ずっと探し求めていた気持ちが分かる。


 本物のかぐや姫みたいに、月に帰ってしまいそうな彼女を何としてでも引き止めたい。
 捕まえて、触れて、その薄い色の目で自分を見つめて欲しい。

 そんな欲が湧きあがる。


「俺はさ……今まで以上に美来が欲しくなったよ……」

 呟くように紡がれた明人の言葉にハッと意識を今に戻す。


 明人もやっぱり俺と同じってことか。

 それを確信して、俺はニッと笑う。


「俺もだよ。だから、本気で俺たちのにしようぜ?」

 俺の言葉に、明人も笑って同意するものだと思ってた。
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