地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
文化祭とその後

文化祭一日目と久保くんのケガ

「失礼します、生徒会です。こちらは問題ないですか?」
「ああ、大丈夫だよ。……あ、でもステージの方で何かが足りないって言ってたな」
「あ、じゃあそっち行って見ますねー」

 抗争があった翌日、あたしは生徒会のお手伝いとして見回りに駆り出されていた。

 みんなにあたしが《かぐや姫》だとバレたというのは朝のうちに坂本先輩から聞いた。
 やっぱり稲垣さんは黙っていてはくれなかったらしい。


 まあ、そりゃそうだよね。
 ずっと《かぐや姫》を探していたらしいし、口止めもされなかったら話すよね……。

 やっぱりあの時、「黙っててください」って言うだけは言っておけば良かったかな?


 思うけれど、後の祭りってやつだ。

 あたしはため息をつきつつ仕方ないことだと納得した。


 でも、そんな状況なのに普段と変わりない様子で校内の見回りを出来ている。

 その理由は単純。
 《月帝》と《星劉》の人達が今日は学校に来ていないからだ。

 元々抗争の翌日はみんなケガとかしているだろうから、休むということになっていたらしい。

 そのおかげで今日の学校内では特に騒がれることはなかった。


 もしかしたら何人かは《月帝》と《星劉》の人に聞いたかもしれないけれど、多分信じないだろうっていうのが坂本先輩の見立て。

 まあ、普段のあたしは地味眼鏡だからね。

 ……何故かそれでもファンクラブみたいなのが出来ちゃってるけれど……。
 でもその人達以外にはやっぱり地味眼鏡くらいにしか思われていないと思うし。

 流石に《かぐや姫》とは思われないってことでしょう。
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