地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
 包帯を全て取ると、しっかり筋肉がついた男らしい腕にガーゼが貼りついてある。
 流石にそれには少し血が滲んでいた。

「……」

 思わず眉を寄せ、ガーゼの上からそっと手のひらを乗せる。
 

「美来?」

 何してるんだと言いそうな声で呼ばれたけれど、あたしは傷に意識を集中する様に口を開いた。

「早く良くなりますように」

 念じたからって本当にすぐ治るわけじゃない。
 でも、こういう手当てをすることで少しでも痛みが和らいでくれると良いなって思った。

「美来……」

「あ、ごめんね。すぐに巻くから」

 あたしのただの自己満足だ。
 いつまでもこのままでいるわけにはいかない。

 そうして巻き始めると、久保くんはポツリと零すようにお礼を言ってくれる。

「いや……ありがとな……」
「あ……うん」

 そのお礼は多分包帯を巻くことだけじゃなくて、さっきの手当てへのお礼も入ってる。

 それを感じ取って、何だかちょっと気恥ずかしくなってきちゃった。

 ……でも、迷惑ではなさそうで良かった。


「……よし、これで大丈夫かな?」

 包帯の端をしっかり止めて状態を見る。
 看護師さんほど上手く巻けてるとは思わないけど、少なくともあのぐちゃぐちゃ状態よりはかなりマシだよね。
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