地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
「……分かってねぇ……」
「え?」
「いや、なんでもねぇよ」

 何が分かってないっていうのか分からなかったけれど、すぐになんでもないって言うくらいだから大したことじゃないのかな?

 そう思ってそれ以上聞き返さずにいると、「それより」と久保くんは少し真面目な顔になった。


「……昨日の夜、どうして校庭にいたんだ? なんであんな……みんなの前で歌ったりしたんだ?」

「あ……それは……」

「お前は、みんなに《かぐや姫》だって知られたくなかったんじゃねぇのかよ?」

「そう、なんだけど……」

 まるで非難されているような様子に言葉を詰まらせる。


 確かに、バラさないでと頼んでおいて何してるんだって状態だよね……。

 正体は隠したままにするつもりだったけれど、稲垣さんに見つかってしまったせいで結局バラされちゃったし。


「八神さんも、《星劉》の総長も、みんなにバレちまったぞ? しかも二年も一年も目の色変えて《かぐや姫》のこと話し出すし……」

「え? そうなの?」

「そうだよ! お前、どんだけすげぇことしたか自分で分かってんのか!?」

「ご、ごめん……」

 分からないから、謝るしかなかった。
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