地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
 流血していたのを見た久保くんを一番に心配していたけれど、二人のことも当然心配していた。


 久保くんみたいに刺されていないかとか、流血はしていなくても殴られたりしてないかとか。

 昨日一応久保くんにも聞いてみたけれど、違うチームだからか見ていないって言われちゃったし。
 坂本先輩は八神さんと如月さんのことしか話してくれなかったし。

 でも二人は笑いながら『大丈夫』と同じ声をそろえた。


「俺は顔に一発食らっちゃったけど、口端ちょっと切っただけだし」
 と勇人くんが自分の頬に拳を当てるしぐさをする。

「俺は腕とか足ちょっとすりむいた程度だよ」
 明人くんは平気そうに両手を振った。


「そっか、良かった……」

 ホッとすると、明人くんが片手を伸ばしてあたしの頭にポンッと置く。
 そしてそのまま撫でられた。

「心配してくれたんだな。ありがとう、美来」

「……そりゃあ心配するよ」

 当然でしょう? と思いながら勇人くんの方も見ると、彼は何かをためらうようにそこに止まっていた。

 明人くんと一緒になってじゃれついて来るかと思ったのに……どうしたんだろうとちょっと不思議に思った。


 でも、続けられた明人くんの言葉に意識が引っ張られる。

「俺達より美来だろ? あんな風に歌ったりして……結局如月さんたちどころかみんなに知られちまったじゃんか」
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