地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
「はぁ……抗争を止めるほど聞き惚れる歌。そんなすげぇ歌を歌ったあの女が総長達が探し求めていた《かぐや姫》か、ってみんな納得したってことだよ」

「そうだよ、実感して納得した。だから、二年間ずっと探し求めていた三年生と同じような状態になったってわけ」

「同じようなって……」

 勇人くんの言葉を繰り返しながら頬が引きつる。


 二年もの間ずっと探し続けるほどの熱量。
 それが三年生だけじゃなくなった。

 二人の総長はキスしてくるくらいだから、一方的で強引とはいえそういう好意があるんだろう。

 でも、中にはもう一度会いたいだけって人もいると聞いた気がする。

 どうしてそこまであたしを探そうとするのか分からないけれど、それほどの熱量を持つ大勢の人達が増えた。

 その上そんな人達にあたしが《かぐや姫》だとバレてしまったってことか……。


「……うわっ」

 理解して、思わず声が出る。

 生徒会室にこもっている今日は大丈夫だろうけれど、振替休日が終わった後が怖い。


 一体どうなっちゃうんだろうって不安になったあたしの頭をまた明人くんが撫でた。

「まあ、心配すんなって。追いかけまわされたりはしないように俺らも美来のこと守るからさ」

 よしよしと撫でられ、ふにゃっと顔がほころぶ。
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