地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
***

 翌朝、奏は朝食を終えてすぐに出て行った。

 車で行くあたし達に合わせて電車で行こうとすると、やっぱり早めの時間じゃないと同じ頃に着かないらしい。

 そこまでしなくても、とは思うけれど、一緒に行くしのぶも「何だか隠れた護衛って感じでワクワクするね!」とか言っていたから良いのかな?

 ……何から守ってくれるつもりなのかは分からないけれど。


 奏が出て行ってしばらくすると勇人くんから連絡が来た。

『そろそろ着くから準備しといて』

 車の絵文字付きメッセージにあたしは“了解”のスタンプを返して、バッグを持って外に出た。


「あ……」
「お? はよ……出かけるのか?」

 すると、丁度同じく部屋から出てきた久保くんと鉢合わせする。

「おはよう。……うん、久保くんも?」

 昨日様子を見られなかったから会えてよかったと思いながら、あたしは笑顔で聞く。

「ああ、今日は病院行かなきゃならなくてな」

 と、包帯を巻いているであろう左腕を軽く上げて見せる。

「傷の様子見るんだと」
「そっか、それは大事だね」

 化膿してないかとか見てもらうんだろう。
 それはちゃんと見てもらわないと。


「そういうお前は? おしゃれして、どっか行くのか?」
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