地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
 うわ、その場にいなくて良かった。
 尋問状態の奏って本当に魔王っぽくて怖いから。


「本当、奏は妹思いだよね」
「……」

 しのぶの感想にそれでいいのかと突っ込みたくなる。

 魔王っぽい奏を見てもそんな恋する乙女の表情が出来るしのぶって何気にかなりの強者(つわもの)なのかも知れない。


 そうして帰りはまた奏としのぶとは別行動で、あたしは双子と共に森家の運転手さんに送ってもらう。

 行きは三人で後部座席に乗っていたけれど、勇人くんは奏の圧にやられたのか疲れ果てた顔で一人助手席に座った。

 でも、あたしと明人くんもたくさん遊んで疲れたし、行きのときみたいに元気におしゃべり出来る状態じゃなかったからどっちでも同じだったかもしれない。


 車の中でウトウトしつつ送ってもらい、お礼を言って自分の部屋に向かう。


 今日は楽しかったけど……色々あって疲れたな。

 勇人くんのことは気になるけれど、彼がどういう答えを出すのかは見守るしかないだろうし……。


 階段を上りながらそう考えていると、観覧車での明人くんの言葉が蘇る。

『俺、美来のことが好きだ』

「……」

 胸がギュッと切なく苦しくなる。

 明人くんのことは、嫌いじゃない。
 どっちかっていうと好きな方だと思う。

 ……友達として。
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