地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
 最近は友達として良い感じに親しくなれたと思った。

 そのことをあたし自身嬉しく思ってたから……。


「……なに、あれ?」

 ポツリとこぼされた声でこの場にはもう一人いたことを思い出す。

 見ると、彼女も久保くんが去って行った出入口の方を見て呆然としていた。

「メチャクチャカッコ悪いんだけど」

 そのまま続けてつぶやいた言葉に、あたしはムッとする。

「別にカッコ悪くはないと思うけど?」

 つい、反論してしまう。


「は? 別にあんたの意見なんて聞いてないし」

 睨みつけてくる派手女子に、そりゃそうだとは思う。
 でも言わずにはいられなかったんだ。

「……」

 とはいえそれ以上伝えることもなくて黙っていると、彼女はまた出入り口に視線を戻しどうでも良さそうに息を吐いた。


「まあ、あの状態を見れば百年の恋も冷めるってやつよ。……別に恋はしてないけど」

「え……?」

 付け加えられた言葉にちょっと驚く。
 さっきだって甘い声を出して久保くんの胸に引っ付いていたのに……。

「久保くんを好きなわけじゃないの?」

 だから、思わず聞いてしまった。

 すると彼女はまたあたしを睨むように見て鼻を鳴らす。
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