地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
 でも勇人くんは胡乱(うろん)な目をして「ふーん」と見つめてくる。
 その目が久保くんが去って行った階段の方に向けられて、またあたしに戻って来た。

 なんかあっただろ? とその目が語っている。


 何その見透かしたような目⁉

 まるで如月さんみたいだよ⁉

 如月さんは結構初めからあたしが《かぐや姫》だって気づいてるんじゃないかと思うことが良くあった。
 そんな彼と似てきているんじゃないかと思ってしまう。


「変なことって何言ったんだよ?」

 そんな勇人くんとは違って、明人くんは直球で聞いてきた。

 そこ、聞かないで欲しかった!


「……恥ずかしかったって言ったでしょ? 言わせないでよ」

 何が何でも言いたくないあたしは、口を尖らせてはぐらかす。

 子供っぽいかな? と思ったけれど、二人は手で口元を覆い、揃ってあたしから視線を逸らした。

 凄いね、タイミングも逸らした角度も一緒だよ!


 耳が赤くなってるから照れてるんだってのは分かるけど……今照れる要素あったっけ?

 不思議に思っていると、勇人くんが先に気を取り直した。


「まあ、言いたくないなら聞かねぇけど……」

 そう前置きをしてまたさっきの見透かしたような目をあたしに向ける。

 思わず唾を飲みこむと、彼は明人くんの方に話しかけた。
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