地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
「でも俺は、その美来への好きも明人と共有するものだと思ってた」
「……」
「明人は違うって知って、俺は本当に美来のこと好きなのかなって悩んだりもしたんだ」
「それは……」

 何とも言えない。

 あたしも双子だけれど、男女の違いがあるせいか奏と何かを共有することってあまりないから……。
 だから心から理解することは出来ない。


「でもさ、最近の美来を見てて分かったんだ。俺は美来が好きになるのが明人なら諦められるけど、他のやつだったら絶対諦めきれないって」

「……」

 それは……どう受け止めれば……。


「ならやっぱり美来のこと本気じゃねぇのかなって思わなくもねぇけど、もうその辺悩むのやめたんだ」

 ニカッと、晴れ晴れとした笑顔になる勇人くん。

 彼はそのままあたしの右手を取った。


「俺が美来を好きだって気持ちは本物だ。それだけは絶対確かな気持ちなんだ」

「っ!」

 正直、困る。
 でも、その真っ直ぐな気持ちにはドキッとさせられてしまって……。

「美来が明人を選んだときだけ諦める。でも、明人以外だったら諦めない。これが俺なんだって分かった。だからもうそれを貫き通すって決めたんだ」

 矛盾している様にも思えるその気持ち。
 でも、勇人くんの目には強い決意を感じる。

 これが自分なんだっていう、ブレない意思。

 そんな勇人くんはいつもよりカッコよく見えて、ちょっと見直してしまった。
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