地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
 家、かぁ……。

「帰っても大丈夫だと思う?」
 難しい顔をしている奏を見て言うと。

「いや、ダメだろ」
 と即答される。

「だよねぇ……」

 三連休で家に戻る。
 それはきっと奏をストーカーしてた子も同じだと思うから。

 帰って地元でバッタリなんてなったら、わざわざあたしたちまで遠くの学校に通った意味がなくなる。


「なんだ? 帰れない事情でもあるのか?」

 一緒にいてあたしたちの会話を聞いていた久保くんが疑問の声を上げる。

 その辺の事情を誰かに話したことはなかったもんね。


「うん、まあ……会うわけにはいかない人がいてさ……」

 ストーカーのことなんて言いふらすことでもないから、ちょっと曖昧に答えた。

 久保くんは「はぁ……」とよく分からないながらも納得の声を上げる。

 その口から更に何か疑問が出てくる前に、今度は奏が久保くんに質問した。


「で、久保は家に帰るのか? お前の家ってこの辺なんだっけ?」

「え? ああ、寮にいられねぇならそうするしかねぇだろ。あと、そこまで遠くはねぇな」

 聞かれたことに素直に答える久保くんに奏は「じゃあ」と自然な様子で口を開く。

「俺お前の家泊まるから、よろしく」

「ああ……って、は⁉」
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