地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
奏の事情
先生からあたしの席だと指定されたのは窓際の一番後ろ。
隣の席の人は今日は休みなのか誰も座っていない。
何だか少し気まずい朝のSHRをやり過ごすと、前の席の子が振り返って挨拶してくれた。
「初めまして、星宮さん。あたししのぶって言うの、梅内 しのぶ。これからよろしくね」
さっきの自己紹介の時の反応から、話しかけてくれる人がいるとは思わなかったから少しビックリした。
「あ、初めまして」
数拍遅れて何とかそれだけ返す。
愛想も何もなかったけれど、梅内さんは気にせずそのまま話してくれた。
「星宮さんって双子なんでしょう? 隣のクラスにも片割れが転入するって聞いたよ」
「あ、うん。兄の奏が行ったよ」
答えると、梅内さんは顔を近付けてきて声量を落とした。
「じゃあもしかして、その奏くんが《シュピーレン》なの?」
「へ?」
思ってもいなかった言葉を掛けられあたしは目を丸くする。
梅内さんの言う通り、その《シュピーレン》とは奏のことだ。
密かに歌ってみた動画を配信している奏。
そのアカウント名が《シュピーレン》だった。
ちなみにどうしてそのアカウント名なのか聞いたところ、ドイツ語で奏でるって意味だからだそうだ。
……安直。
隣の席の人は今日は休みなのか誰も座っていない。
何だか少し気まずい朝のSHRをやり過ごすと、前の席の子が振り返って挨拶してくれた。
「初めまして、星宮さん。あたししのぶって言うの、梅内 しのぶ。これからよろしくね」
さっきの自己紹介の時の反応から、話しかけてくれる人がいるとは思わなかったから少しビックリした。
「あ、初めまして」
数拍遅れて何とかそれだけ返す。
愛想も何もなかったけれど、梅内さんは気にせずそのまま話してくれた。
「星宮さんって双子なんでしょう? 隣のクラスにも片割れが転入するって聞いたよ」
「あ、うん。兄の奏が行ったよ」
答えると、梅内さんは顔を近付けてきて声量を落とした。
「じゃあもしかして、その奏くんが《シュピーレン》なの?」
「へ?」
思ってもいなかった言葉を掛けられあたしは目を丸くする。
梅内さんの言う通り、その《シュピーレン》とは奏のことだ。
密かに歌ってみた動画を配信している奏。
そのアカウント名が《シュピーレン》だった。
ちなみにどうしてそのアカウント名なのか聞いたところ、ドイツ語で奏でるって意味だからだそうだ。
……安直。