地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
「歌は凄かったです。力強くて聞きごたえがあって素敵でした。でも、銀星さんの女になんてなりませんから!」

 ステージの上で勝手に神を解いたりしたことは許してないという意味も込めてキッパリ拒否をする。

 でも銀星さんにとってはそんな拒否すら些細なことだったみたい。


「言ってろ。俺は本気になったら諦めるって選択肢は初めからねぇんだ。何が何でも、いずれは俺の女になってもらうさ」

「……」

 これは何を言っても意味がないのかも知れない。


 確かに銀星さんも初めに思っていたほど悪い人じゃないと思う。
 昨日からの遥華や連さんとのやり取りや、高峰組の人達に慕われている様子など見ても人に好かれるタイプの人なんだと思う。

 ……ただ女グセが悪いだけで。

 友達としてなら考えなくはないけれど、銀星さんの女となるとやっぱり遠慮したい。


 大体、あたしは久保くんが好きなんだし……。

 銀星さんには悪いけれど、異母兄弟という事もあって一緒にいても頭に浮かぶのは久保くんのことばかり。

 久保くんと似たところを見つけては思い出してドキッとするし、違うところを見つけても久保くんだったら……って考えてしまう。


 そういう意味でも、銀星さんの女になんてなれるわけがない。
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