地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
 それはハッキリしているのに、銀星さんはどこまでいっても俺様気質みたいだ。

 あたしの言葉なんて気にせず更に話を進め始めた。


「美来、お前《crime》に来いよ」
「は?」

 何を言ってるの?

「かぐや姫は罪を犯して地上に落とされたんだろ? 《crime》は罪って意味だ。罪を背負う俺の女なんてピッタリじゃねぇか」

 銀星さんはなんか上手いこと言ったみたいなドヤ顔してる。
 けど……。

「だからあなたの女になんてなりません。だいたいあたし自分のことをかぐや姫だなんて思ってませんから」

 あれはあくまであたしの名前を知らなかった佳桜高校トップ三人がつけた呼称であって、あたしがそう名乗ったわけじゃない。


「それに、あたし好きな人いますから!」

 ここはハッキリ断っておいた方がいいだろうと思って伝える。
 久保くんの名前を出さなきゃバレないよね、と思って。

 でも――。

「ああ、幹人だろ? 親父から聞いた」

 既にバレていた。

 そりゃ、確かに口止めはしてなかったけどさぁ……。


「お前が今誰を好きかなんて関係ねぇよ。今後俺に惚れさせるからな」

 自信たっぷりな言いようにもはや絶句していると、銀星さんはニヤリと口角を上げて続ける。
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