地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
声の秘密
……翌日。
あたしの決意とは何だったのか……。
「ホンット、ロープみてぇにキッチリ結ってんのな?」
許可もなくあたしのおさげをつかみ取り弄ぶのは隣の席の男の子。
そう、隣の席。
昨日関わったりしないと決意したはずの不良、久保 幹人くんである。
「あーでも毛先はなんか触り心地良いんだな? あれだ、筆っぽい」
「……えっと、離してくれない?」
いつまでも触り続けるのでいい加減離してくれないだろうか。
怒らせたくはないので、控えめに聞いてみた。
「んー? まだ良いだろ?」
「……」
とりあえず、離す気は無い様だ。
仕方ないのであたしは黙って気にしない様にするしかないと自分に言い聞かせる。
今朝も髪をキッチリ結って、カラコンと眼鏡を忘れずにつけてアパート――もとい、第二学生寮を出た。
昨日約束した通り第一学生寮でゆっくり朝食をとり、しのぶと合流すると余裕をもって教室に来る。
そこまでは良かった。
おかしくなったのは昨日に引き続き久保くんが教室に来てからだ。
来なくていいのに、と内心では思っていたけれど、出来る限り顔には出さない様に試みた。