地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
 とにかく何事もなかったようで一安心した俺は、自分も風呂に入るついでに銀星の様子を見ようと露天風呂に向かう。

 脱衣所に着替えがあったから、銀星もまだ入っているんだろう。


 それにしても風呂に入ってる美来ちゃんを見ても襲わなかったとか、銀星も自制出来るようになったってことかな?

 いいことだと思いながら露天の方に出ると、岩風呂の中に銀星の姿を見つけた。


「銀星、まだいたか」

 そう声を掛けて、かけ湯をしてから湯舟に入り銀星の近くに行く。

「……ああ、連か……」

 心地の良い温泉に浸かってゆっくりしているからなのか、銀星の反応は薄い。


「聞いたぜ? ここで美来ちゃん見ても襲わなかったんだって?」

 自制出来るようになるなんて成長したんじゃないか? なんてからかって見せる。

 でも、銀星の反応は薄くただ暗い夜空を見上げた。

 そしてポツリと呟かれた言葉に耳を疑う。


「美来……ああ、俺の女神……」

「は?」

 女神、なんて銀星が口にしなさそうなワード。
 聞き間違いかと思ってまじまじと見た。

 銀星は少し熱っぽく夜空を見上げて、恍惚としたような表情を浮かべている。
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