地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
でも美来さんにちょっと触れてしまうだけで赤面して固まってしまうような男。
そんな男が彼女に恋のアプローチなんか出来るわけないと放置していた。
でも逆にアプローチしないのが良かったのかもしれない。
久保は自然な形で、彼女の心にスルリと入って行ってしまったみたいだ。
久保は頭が悪いわけじゃないけれど、そこまで計算高いわけでもない。
狙ってしたことじゃないことだけは分かる。
「……だから尚更面白くないんだけどね」
心の内の靄を声に出して発散してみたけれど、大して軽くはならなかった。
だから、代わりにちょっと面白いことを考えてみる。
両想いっぽい二人。
でも、まだ付き合ってはいない。
あまりやり過ぎると嫌われかねないけど、ちょっと邪魔をするくらいは良いんじゃないかな?
恋には障害がつきものと言うし。
俺ってやっぱり腹黒いのかもしれない。
そう思いながら、うっすらと笑った。