地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
 教室に来て「はよ」と挨拶をしたらすぐに机に突っ伏した久保くん。

 いつものことではあるのだけれど、ここ最近は本当に眠いらしい。


「今日も朝からぐっすりだね、また遅くまでこき使われてたのかな?」

 寝ている久保くんを起こさないように声を抑えた奈々があたしに聞いてくる。

「うん、そうみたい」

 答えながら思い返す。

 昨夜も9時前くらいに帰ってきたみたいだった久保くん。
 直接会いたかったけれど迷惑になるかもと思って少しだけ電話してみたんだ。

『お疲れ様、今忙しいの?』
『ああ……急遽決まったハロウィンパーティーのことで校内の見回り増やしたりとか、それぞれ衣装どうするかとか……八神さんの指示じゃなきゃサボってるってくらい忙しい』

 苦笑気味に答えた久保くんは、その後も何かやることがあるらしくてすぐに電話を切った。

 あたしに余裕が出来たら今度は久保くんが忙しくなるなんて……作為を感じるのは気のせいだろうか?


「まあ、お昼には少しくらい話す時間も取れるんじゃない? 今日は《月帝》のテーブルで食べる日でしょう?」

 香の言葉にそうだったと思い直す。

 流石にすぐに告白云々とはいかないだろうけれど、そういうの関係なくもう少し久保くんと話したい。

 純粋にそう思っていた――のに!
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