地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
 あたしも、久保くんが誰か別の人を本気で好きになっていたらと考えると少なからず嫉妬の気持ちが湧いて来るだろうから……。

 想像できてしまうからこそ、みんなの気持ちを否定することは出来ない。


 あたしの横に並んだ稲垣さんはそのままゆっくり歩いてあたしも歩くよううながした。

「それに、あまり幹人をいじめると君に嫌われるだろうってことも分かってるはずだからな。邪魔をするのも今だけだよきっと」

「そう、でしょうか?」

 階段を下りながら幾分納得いかない返事をする。
 でも、そうであればいいとも思った。


 告白とか置いておくとしても、単純に久保くんと一緒に居たい。
 好きな人の側にいて、他愛ない話をしたい。

 そんな小さな幸せが欲しい。

 もう完全に久保くんロスみたいになっていた。


 こういうとき、あたしって本当に久保くんのことが好きなんだなぁって実感する。

 これだけ好きになれる人が出来たってことが純粋に嬉しい。

 その喜びにちょっと浸っていると、階下から視線を感じた。

 思わず顔を向けると、あたしを睨む目と視線がかち合う。

「っ!」

 息を呑むあたしをそのまま睨みつけているのは香梨奈さんだ。
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