地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
***

 その日の放課後、あたしは教室で項垂れていた。

 少しは話せるかと思っていたお昼も結局久保くんとは一言も話せなかったし。

 八神さんも結構あからさまだったし、稲垣さんも謝るくらいだからやっぱり邪魔されてるんだろうな。

 稲垣さんは今だけだよって言っていたけれど……。


「でもやっぱり寂しいよ……」

 机に突っ伏すようにして、今は誰も座っていない隣の席を見る。

 久保くんは今日午後の授業を受けに来ていない。

 昼休みが終わりそうになっても来ないからメッセージを送ってみたら八神さんに頼まれた仕事がもう少しかかるからって返って来た。
 その後は流石に本気で眠いから保健室で放課後まで寝てるって。

 ちゃんと休んで欲しいからそれは良いんだけれど……。

 でも会うことすら出来ないのは寂しい。


 切ない気分で久保くんの面影を探すように彼の席を見ていると、突っ伏しているあたしの頭をポンポンと叩く手があった。

「好きな人と会う事さえ出来ないんじゃあ寂しいよね?」

 しのぶの声に顔を上げる。
 あたしの心に寄り添ってくれる言葉と慈愛に満ちた微笑みに泣きそうになった。

「しのぶ~」

 震える声で名を呼び目じりに涙を溜めていると、香と奈々も近くに来てくれる。
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