地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
「流石にここまで来ると見ていられないね」
「そうだよ! みんな美来のこと好きなのは分かるけど、ちょっとやりすぎ!」

 香は真面目な顔で、奈々はプリプリと。
 それぞれあたしのことで怒ってくれていた。

「香……奈々……」

 寄り添ってくれる友人たちに感動してしまう。
 本当に泣いちゃいそうだよ。


「香、奈々。ここはあたしたちが立ち上がるところじゃない?」

 しのぶが二人を見上げて二ッと笑う。

 二人は一度顔を見合わせてから、しのぶを見下ろして同じように笑った。

「そうだね、早く元気な美来に戻ってほしいし」
「もっちろん! 美来のために一肌脱いじゃうよ!」

 何だかやる気満々になった三人。

 あたしはそんな彼女たちを頼もしさ半分、何をするつもりなのか分からない不安半分で見上げていた。

***

 数十分後。

 あたしは学校の中庭に一人突っ立っていた。

 丁度見ごろを迎えているコスモスがたくさん咲き誇っているここは、秋の人気告白スポットらしい。
 今告白するならここでしょう! と奈々が力説していた。

 ちなみに春は校庭の隅にある大きな桜の木が一番人気なんだとか。
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