地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
 極上な男たちにエスコートされて階段を下りる様はまさにお姫様といった感じ。

 この学校で、一番愛されるべき王女様とでも言うかのよう。

 その立ち位置は、あたしが欲しかったものだ。


 別に男たちに好かれたいわけじゃない。

 ただ、その一番の位置にいたいんだ。


 このマンモス校じゃあそんな位置づけになれる人間がいるとは思えなかった。

 だから、とりあえず今は何かの一番になろうとしていたのに……。

 なのに知ってしまった。

 その一番という席が存在していたことを。

 そして、あたしは絶対にそこに座ることが出来ないという残酷な真実も。


 差を見せつけられた気分だった。


 もしかしたら、相手があの女じゃなかったらここまで憎らしいと思わなかったかもしれない。

 あたしをコケにした存在。
 あたしのプライドを踏みにじった存在。

 そんな女が、あたしが手に入れたかった位置にいる。

 悔しいとか、腹立たしいとか通り越して、憎らしい。


 しかもああやってお披露目したっていうのに、未だに地味な格好を続けている事とかも意味が分からない。

 あの地味な状態でも人気の男たちにチヤホヤされているところを見ると、もはやあたしを馬鹿にしている様にしか見えなかった。
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