地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
「な、何?」

「ん? いや、可愛いなって思って」

「っ⁉」

「可愛くて、綺麗だ。……美来、そのドレスすげぇ似合ってる」

「あ、その……幹人くんも、そのタキシード似合ってるよ? これって仮装の衣装?」

 あまりの甘さに逃げ出したい気分になって、でも出来ないから話を逸らすように聞いてみる。


「ああ、吸血鬼の衣装。八神さん、なんの用で呼び出したのかと思ったらこれ着ろっつーんだよ。せっかく用意したのにもったいねぇからって」

 マントやキバも用意してあったけれど、流石にいらないだろうとそれはつけてこなかったんだそうだ。

「フル装備の幹人くんも見てみたかったけれど……タキシード姿だけでもカッコイイから見られて良かった」

「そうか? まあ、俺も美来の姿見たら着て良かったって思ったけどな」

「あたしの?」

 キョトンとして聞き返すと、また甘い笑みが向けられた。

 横抱きにされた状態でステージの上に上がると、丁度ライトが当たって幹人くんの顔が逆光になる。

 幹人くんのふわふわの猫っ毛が光を透かして優しく甘い笑顔を縁取った。


「……美来の衣装、ウェディングドレスみてぇだからさ。……タキシード着てれば、隣に立つのにふさわしいだろ?」

「それって……」

 つまり、新郎と新婦みたいだってこと?
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