地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
 やっぱり土日はどうしたって混むから、フリータイムだとしてもある程度時間が経ったら切り上げてほしいって言われちゃうみたい。

 まあ、それでも四時間は歌えたんだからいい方かな。


「でもこの後どうしよっか? 買い物でもする?」

「そうだね。ドリンクも結構飲んだからカフェでまったりって感じでもないし」

「はいはい、俺は荷物持ちってわけだな?」

 しのぶの提案にあたしが同意し、奏は冗談っぽく返した。


 そうして軽くショッピングしていると、なんだかんだ言って四時半も過ぎる。

 しのぶとは学校の前で別れて、あたしと奏は第二学生寮に帰って行く。


 土日祝日は第一学生寮の食堂は使えないらしく、あたし達は今日と明日は自炊しなきゃならない。

 元々毎日自炊しなきゃならないと思っていたから道具はあるし、土日の分の買い出しは昨日しておいたからあとは作るだけだ。


 料理は奏も出来るけれど、基本的にはあたしの役割。

 奏はお菓子作りとか細かい作業があるものの方が得意だしね。


「じゃあ出来たら呼ぶから」

「おう」

 そう言ってそれぞれ自分達の部屋のドアを開けた時だった。


 ガチャッと、ほぼ同時にもう一つのドアが開く。

 奏の隣の部屋。

 丁度中から出てくる所のようだった。
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