地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
「あ! 美来様!」

「美来さん、今からデート?」

 出たところには丁度宮根先輩やすみれ先輩といったファンクラブの人たちがいて、何か話していた様子だった。


「あ、デートって程ではないですけど……」

 すみれ先輩の言葉に答えながら歩くと、ぐるりと囲むように彼女たちはついて来る。

「今、先日のハロウィンパーティーのことを話していたんです」

 宮根先輩がうっとりとした様子で何を話していたのか教えてくれた。


「やっぱりあの時の二人は花婿と花嫁の様で……。久保くんは最近ヘタレになってて頼りないなんて言われていましたけれど、あのときは本当に素敵に見えましたもの」

「そうよ! 《月帝》チーム内でもあれ以降不満の声が出なくなったって聞いたわ」

 興奮気味に宮根先輩の言葉に同意したのはちょっとお久しぶりのなっちゃんだ。
 ……いまだに本名を教えてもらえていない。

 そしてそんな二人の近くでコクコク頷いているのは首振り人形の子。
 ……彼女はあたしの前で話したことあったかな?

 一番初めに少し会話しただけでそれ以降声を聞いた覚えがない。


「可愛い美来さんを守れるのかちょっと不安だったけれど、あのときのあなた達を見たら大丈夫かなって思えたのよ」

 柔らかな微笑みでそう口にしたのはすみれ先輩だ。

 それに同意するように、調理部の後輩がキラキラした目であたしと幹人くんを見て言った。
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