地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
 久保くんの話では、金曜のお昼の時点ですでにマズイなって話になったらしい。

 格付けがされているのは、なにもそれぞれの格の違いをハッキリさせるためだけじゃないらしい。

 二階席で昼食をとっているような人達は、とにかく目立つ。

 立場もそうだし、見た目も良い人が多いからだ。


 そんな人達が他の生徒と一緒に食べるとなると、近くの席の奪い合いから始まりそのためにお金を積んだり暴力に走ったりということになるんだとか。

 まさかいくら何でもと思ったけれど、五年くらい前に実際に起こったことらしい。


 とにかくそういうことだから、双子にはちゃんと二階席で食べてもらうようにしたいってことだ。


 でもそれでどうしてあたしが?

 二人に二階席で食べろって言えば良いだけじゃないの?


 聞くと……。

「それが……八神さん――うちの総長がお前にちょっと興味あるみてぇでな、この際だからお前を二階に連れてくれば良いんじゃねぇかってことになって」

「え?」

「で、生徒会長が『それもいいかもね』とか言って同意したもんだから、そいつらの監督が行き届いてなかった《星劉》の総長も特に反対することも出来なかったんだろ。同じく同意するって形で決まったんだよ」

「…………ちなみに、そこにあたしの意志は?」

「は? 何それ、聞く必要あんの?」

 本気で不思議そうに言われた。


 ふっざけんな!


「絶対に嫌!」

 とはいうものの、あたしの手首を掴んでいる久保くんの手はなかなか外せない。

 くそぅ、単純に力ってなると流石にあたしには無理だ。


 そんなあたしに、久保くんは容赦なく告げる。

「お前に拒否権はねぇよ」

「横暴だー!!」

 あたしは叫ぶことしか出来なかった。
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