地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
 ……ああ、視線が痛い。


 結局久保くんの手を振りきれなかったあたしは不良三人に囲まれる形で食堂に行くことになる。

 現時点ですでに敵意丸出しの視線が多いのに、これで二階席に行ったらどうなってしまうんだろう。


 一応助けを求めてしのぶを見たけれど、「ごめん、流石に二階席は付き合えない」とちょっと青白い顔で言われてしまう。


 いや、良いんだよ?

 むしろそんな血の気の引いた顔させてごめんね?


 なので奏の方を見たけれど……。

「悪い、こんな状態のしのぶ一人に出来ない」

 としのぶを心配そうに見ながら言われた。


 妹より好きな子が大事か!? いやまあそうだよね!


 と思わなくもなかったけれど、しのぶのことはあたしも心配だから文句は言えない。

 だって、この状態で二階席に行ったら残ったしのぶが質問攻めにあうのは確実だ。


 こんな顔色の悪いしのぶ一人にそんなことさせられない。

「じゃあ、しのぶのことはよろしくね」

 奏にそれだけはしっかり頼んで別行動をとった。


 ああ、せめてご飯だけはちょっと奮発しよう。

 クリームコロッケ定食に、今日はデザートのプリンも頼もう。

 デザートとかは特別な日に! なんて思っていたけれど、今日ばかりはそんなご褒美でもなけりゃやってられない。
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