地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
 最初はサラダを口に運ぶ。
 このドレッシングもホント美味しいんだよね~。

 玉ねぎの甘さが引き立っていて生野菜がいくらでも食べられる。


 そしてやっぱりメインのクリームコロッケ!

 衣はサクッと。中はとろーりクリーミィ。

 海鮮系のうま味が口の中に広がって、でもくどくないってところがもう完璧!


 本当、いつもながら――。


「美味しいぃー」

 あー幸せ。


 口内に広がる幸せを噛みしめていると、何だか視線を感じてふと周りを見る。


 正面にいる八神さんが何故か目を見開いて固まっている。

 そして隣の久保くんもシチューを口に運ぼうとしている状態で固まっていた。


 ちなみにうっかりスルーしそうになった稲垣さんも、明らかに驚いた表情で固まっている。


 もぐもぐゴクンと口の中のものを飲み込んで、思わず首をひねる。

 何? あたし何か変なことした?


「……美味そうに食べるんだな」

 正面の八神さんがポツリと零すように言葉を放つ。

「え? ええ。美味しいですから……」

 何を当たり前なことを? って気分だ。

 美味しいものを美味しそうに食べて何か悪いことでもあるの?


 わざわざ指摘されることでもないようなことを言われて、少し不満に思う。

 まあ、暴走族の総長相手にそんな不満は言わないけど。

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