望月先生は甘くない ~年下ドクターの策略~

「仕事しましょう」

そんな彼をスタッフステーションから見ていた私は小さく息を吐くと、処置室へと向かい備品の確認を始めた。

櫻町柚葉、三十歳。この病院の看護師をしている。

半年前ぐらいまでは病棟勤務だったが、それ以降は外来勤務をしている。
切れ長の二重に、高めの鼻、さらには感情表現も上手くない事から冷たくみられることも多く、小児科に向いていないかと思われているが、意外にも子供には好かれる方だ。

背中までのブラウンの髪はいつも一つにまとめている。

そして、隣で同じく冷めた表情で、望月先生を見ていた榎本恭子。もう残りすくなくなった同期で友人だ。何人が寿退社していったかわからない。

恭子はショートカットの姉御肌の美人で、例えるならば猫のようなすらっとした美人だ。
しかし、実は3次元には興味もなく、BLをこよなく愛している。

いつもこの病院の二大アイドルである、この望月先生と、外科医の早乙女先生を見ては妄想しているのだ。
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