望月先生は甘くない ~年下ドクターの策略~
「僕たちも行きましょうか?」
「はい……」
仕方なく私も望月先生に続いて診察室へと入れば、デスクに座った先生がクルリと私を見た。
「僕も意外でしたよ」
漫画ならきっとキュルンと書かれそうな程、屈託のない笑顔で発せられた言葉に私は口ごもる。
「なにがでしょうか……」
さっきのことだとは思いつつ、私は問いかける。
いくら年下とはいえ、相手はドクターだ。噂話などをしていいはずはない。
どうフォローすべきか悩んでいるうちに、望月先生は言葉を続けた。
「櫻町さんが婚活をしていたなんて」
え? それ?
悪気がなさそうなのに、意外に大きな声で言った望月先生に、私は慌てて口を覆うように近くに寄った。