望月先生は甘くない ~年下ドクターの策略~
「ここでよかった?」
「こんな素敵なところ、私にはもったいないです」
少し周りを見ながら言えば、彼は小さく頷いた。
「そういう謙虚なところがよかったんだ」
「え?」
初めて聞くその言葉に私は聞き返していた。
「君みたいな仕事はきちんとしているけど、控えめそうな子が結婚するならいいって思っていたから」
自分を選んでくれた理由をはっきり聞いたのは初めてで、私は「そうですか」とだけ答えていた。
こういう出会いをしたのだから、愛だの恋だのすぐに発展するなどとは到底思っていなかったが、嫁にするならそういう人と条件だけで選ばれたことがなんとなくしっくりこない。