望月先生は甘くない ~年下ドクターの策略~

自分で招いたことなのに、どうしてもなぜか落ち着かない気持ちになってしまい、美味しいはずの料理もあまり味が解らず、酔っている自分をなんとか制御しつつ食事を終えホッとする。

「行こうか」
そう言われ立ち上がれば、少しふらつくような気がしたがなんとか平静を装おう。

「大丈夫か?」

「はい」
支払いをいつしていたかもわからない手際の良さに感心しつつ、私はお礼を言って失礼しようとした。

「今夜はありがとうございました。失礼します」
頭を下げた私に彼はかなり驚いたような表情をした。

「今なんて?」
「え?」
言われている意味が解らず、私は聞き返す。

「今なんて言った?」
やはり聞き間違いではないとわかり、もう一度彼の目を見ながら口にする。
「今日はありがとうございました」
「その後だ」
そのあと? 何かいけない事が言っただろうか。
内心バクバクとしつつ、私はキュッと唇を噛んだ後ゆっくりと頭を下げた。
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