望月先生は甘くない ~年下ドクターの策略~
何か言っていた気がするが、もう私は家に帰りたかった。
ホテル前に停まっていたタクシーに乗り込んで、大きく息を吐く。
今頃酔いが回ってきた私は自宅の住所を伝えると、背もたれにもたれて目を閉じた。
何をやってるんだか……。
自分のしていることがなぜか滑稽に思えてきて、急激に心が冷えて行く。
私が外来に移動したことも、婚活を始めたのもすべてあの人のせい。
思い出したくない過去が頭をよぎった。